サプリメント広告表現の薬機法違反を判断する4つの基準を解説
薬機法とは
まず前提として知っておくべきなのは、「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」は、医薬品や医療機器などの品質と安全性を確保するための日本の法律であるという点です。旧・薬事法から名称が変わり、対象や規制の幅が広がったこの法律は、私たちの健康を守るという役割を担いながら、一方で企業側には広告表現における厳格なルールを課しています。特に、健康食品やサプリメントなど、医薬品ではないが体に影響を与える可能性がある商品に関しては、消費者が誤解しないよう慎重な表現が求められています。
なぜ薬機法ルールに注意すべきか
サプリメントの広告は、消費者の健康意識の高まりとともに年々増えています。そのなかで問題視されているのが、薬機法に違反する広告表現です。意図せずとも違反になるケースが多く、過去には著名企業の広告も処分の対象となりました。違反が発覚すると、行政指導や業務停止命令だけでなく、ブランドイメージの毀損、SNSでの炎上、最悪の場合は課徴金の支払いなど重大なリスクを招きます。だからこそ、広告運用やコピーライティングに携わる方は、薬機法に則った正しい知識を身につけておくことが不可欠なのです。
薬機法の広告規制対象者
「うちは医薬品じゃないから関係ない」と思ってしまう方もいるかもしれませんが、それは大きな誤解です。薬機法が規制するのは、医薬品だけではありません。健康食品や化粧品なども対象となり、特に「医薬品的な効能をうたっている」と判断された場合は、サプリメントであっても薬機法の適用対象になります。広告主はもちろん、代理店やアフィリエイターも責任を問われる可能性があるため、関係者全員が共通認識を持つことが重要です。
サプリメント広告表現の薬機法違反を判断する4つの基準
サプリメント広告において薬機法違反かどうかを判断する際には、以下の4つの基準が非常に重要なチェックポイントになります。
① 成分
サプリメントに含まれる成分そのものが医薬品的なものであったり、医薬品に近い位置づけの成分が配合されている場合、その記載方法には細心の注意が必要です。
NG表現例
「バイアグラと同じ成分配合」「医師が処方する成分を配合」などは完全にNGです。また、「高濃度配合」「医薬レベルの原料使用」といった表現も、医薬品と誤認させるおそれがあるため避けましょう。
② 剤形
薬と見た目がそっくりな形状のもの、特に錠剤・カプセル・アンプルなどは、見た目だけで誤認させる可能性があります。広告でその剤形を強調しすぎることも危険です。
NG表現例
「このカプセル1粒で即効性が実感できる」「アンプルタイプで医療レベルの吸収力」といった表現は、医薬品的な印象を与えるためアウトと判断されやすいです。
③ 用法用量
サプリメントはあくまで「食品」であり、「1日3回、食後に」などのように、医薬品の服用ルールのような記載をすると、それだけで医薬品と誤認させるおそれがあります。
NG表現例
「1日1粒で糖尿病予防」「1回2錠を毎食後に服用してください」といった記載はNGです。医薬品のような「服用」という言葉自体が誤解を招きます。
④ 効果効能
最も違反が多いのが、効果効能に関する表現です。サプリメントは「効果がある」と断言できるものではなく、「体調を整える」「栄養を補う」などの間接的な言い方が求められます。
NG表現例
「このサプリでがんが治る」「アトピーが完治」「うつ病が改善」といった表現は明確にアウトです。改善や治療など、医療行為を想起させる言葉は一切使えません。
今すぐ使えるサプリメント広告の言い換え表現例
禁止表現ばかりを見ていると「何も書けないじゃん」と思うかもしれませんが、適切に工夫すれば、魅力を伝えることは可能です。たとえば「疲労回復」は「元気な毎日をサポート」へ。「脂肪燃焼」は「理想的なスタイルを目指す方に」など、あくまで“サポートする存在”であることを軸に言い換えることがポイントです。医学的な言葉を使わず、読者のイメージに寄り添いながら、期待感を演出する表現が求められます。
薬機法違反を防ぐポイント
薬機法違反を判断する4つの基準を理解する
まずは「成分」「剤形」「用法用量」「効果効能」という4つの軸を理解し、常にチェックするクセをつけましょう。広告を書くたびにこの4項目に照らし合わせるだけでも、違反リスクを大きく減らすことができます。
医薬品と誤認させる表現を避ける
医薬品と混同されるような表現や形状の強調はすべて避けるようにしましょう。「医師推奨」「病院レベル」「○○の治療にも」などは要注意です。ターゲットが誤って認識してしまうような言葉はNGです。
誇大表現を使わない
根拠のない「すごい」「絶対」「一瞬で変わる」などの表現も避けましょう。体感には個人差がある以上、どんなに効果が期待できる商品でも断定することはできません。控えめで真摯なトーンを保つことが、長期的な信頼につながります。
薬機法に強い会社・専門家のサポートを受ける
最後に、迷ったら専門家に頼るのがもっとも安全です。薬機法に詳しい弁護士や行政書士、または薬機法チェックを提供するマーケティング会社に相談することで、万全な体制で広告を作成できます。内部だけで判断しきれない場合こそ、プロの目線が活きます。
まとめ
サプリメント広告における薬機法違反は、意図せずして起こり得るものです。しかし、成分・剤形・用法用量・効果効能という4つの判断基準を意識し、正しい言い換え表現を活用することで、商品本来の魅力を損なうことなく安全に訴求できます。誇大な言い回しを避け、読み手が誤解しない表現を選ぶことが、結果としてファンを増やす近道でもあります。自社の商品が持つポテンシャルを活かすためにも、今こそ薬機法に対する理解を深め、ルールを守りながら“選ばれる広告”を作っていきましょう。